コルゲート建築に魅せられた全ての人へ

希代の科学者にしてコルゲート建築の生みの親、
川合健二の遺した言説集。

一般誌、専門誌はては社内報、同人誌にまで、
きがねなくおのれの思想を語り続けた川合健二。
入手困難なそれら言説を丁寧に探索。そのエッセンスを凝縮。
新たに関係者からのインタビューを収録。
川合邸の建設現場など未発表写真多数収録。
文献目録完全版を付す。

川合健二、そして彼の考えやコルゲートハウスに魅せられた人々の
活動の記録をも、ひとつながりの運動として編集公開!



[基本データ]
名称:川合健二邸
所在地:愛知県豊橋市
用途:個人住宅
設計:川合健二
施工:藤原工務店、及部春雄(鍛冶職人)
構造:長円形シリンダー型コルゲートパイプ造
階数:地上二階
規模:敷地面積/約5,940平方メートル
   建築面積/102平方メートル
総工費:980,000円(構造のみ)
竣工:1966年

出典:『建築』1970年5月号(作画:石山修武)


川合健二邸 写真提供:川合花子/川合健太郎/栗田伸一(モノクロ)、アセテート(カラー)


◆川合健二(1913-1996)とは?

科学者であり設備設計家、そしてプラントエンジニア。1913年愛知県豊橋生まれ。1958年丹下健三設計の「(旧)東京都庁舎」で設備設計家としてデビュー。その後、丹下建築の設計を数多く手がけ、「図書印刷原町工場」(1958年)で建築学会賞を受賞。また、科学者として日本初の吸収式冷凍機を設計。プラントエンジニアとしては、1971年ディーゼルエンジンによるエネルギープラントを設計している。1966年、暗渠に用いられる土木用鋼鈑であるコルゲートを用いたに自邸「川合健二邸」を建設。大きな話題となる。その自邸にて亡くなる直前までクリーンエネルギーに関する研究を続ける。1996年12月26日没。


◆川合健二邸とは?

川合が地元・豊橋で自給自足の生活を送るために設計した、文字どおり「鉄の家」。
土木用建材であるコルゲートパイプを世界で初めて住宅に転用した建築であり、楕円のパイプとハニカムによるその独特の構造は、完成から40年以上が経過した現在でもその新鮮さを微塵も失っていない。
また基礎を持たないことから、竣工当時は建築基準法の適用外にあったという伝説を持つ。
この建築をもとに、後に建築家・石山修武のデビュー作である「幻庵(1975年)」など多数の後続が生み出されることになる。その構法の未来は未だ計り知れない。