忘れないうちに、世の中との共同作業をきちんとまとめておくページ
2003年ぐらい以降の成果物を記録していきます
日々の事柄は、acetate blog(アセテート編集者日記)
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中谷礼仁

The purpose of this blog is to record social activities of
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建築雑誌2010・一月号『特集 検証・三菱一號館再現』届く

編集長を仰せつかってから、あまりの実務の多さにややナーバス気味ではありますが、ようやくはじめての新装『建築雑誌』が届きました。

特集は、最近再現なった丸の内の三菱一號館(元設計/ジョサイア・コンドル)についての、学会との深い因縁から掘り起こした本格的批評です。
同館は、昭和40年代、高度経済成長時代のまっただ中に所有者によって取り壊され、いま再び所有者による本格的な再現によって姿を現しました。そこでは様々な新しい検討が加えられ、その再現のプロセスを積極的に評価できる反面、以前の解体時期には、建築学会からの保存要望を受け入れてもらうことはできなかったという因縁がありました。
この約40年間後の再現の今日的意味を、きちんと批判すべきという硬派な特集になっています。
編集担当は、泣く子も黙る内田祥士(東洋大学)と後藤治(工学院大学)。三菱地所が立派に受けて立ってくれ、両者がっぷりのデベートが展開します。その気概をぜひ味わってください。この100年以上続く『建築雑誌』を購読されるには、年1万2000円+入会金1000円を払っていただき建築学会員になるか、南洋堂などにて一部1300円で購入できます。かなりお得と思います。これから2年間責任を持って、本質的議論をお届けしたいと思います。
民間の硬派な建築雑誌が消えゆく中、その位置づけをしっかりとしていきたいと思います。

建築雑誌201001cover.jpg
装丁は羽良多平吉

 あ、それから開けにくかった『建築雑誌』のビニールパッケージにミシン目をつけました(ビニール耐力の関係で1冊の場合のみ)。ミシン目の両側から両手をつかって開けてみてください。簡単に開けられるでしょう。
この小さな改良に気づいて、ページを開く読者が少しでも多くなることを願います。続きに、編集長としての方針全文を掲載します。


編集委員長挨拶

For the vagueness of "Kenchiku"
その茫漠さゆえにふたたび「建築」を選ぶ
中谷礼仁


■狼が来る!
 と、人を惑わせた少年の末路のようにはなりたくない。だから、普段は扇動的な物言いや、流行をひねくり出すような活動はしないことにしてきた。しかし確かに昨今の社会の状況の変化は、当方が過ごしてきたこの40年強の人生のなかでもっとも大きなものだ。社会、ひいては世界が方向性をいまだ持ちえず、さまざまな思惑がマグマのようにうごめいている。安定した建築像はすでにとっくのむかしに崩れた。こういう時それぞれの主体はどのように動けばいいのか。等比級数的にかけあがる情報や課題の多さのなかで、その舵を決定することは難しい。
むしろ現在の問題群をいかに整理すべきなのかを考えるべきであり、それだけでもたくさんの新しい特集ができてしまうだろう。
 当方は、建築学会がいままで築いてきたさまざまな学の蓄積を母体として、なお社会への積極的な働きかけを行いたいという会長の呼びかけに大いに賛同した。そのような目標に対して、『建築雑誌』に一体どんな底力があり、なにを、どこまでできるのかを、きちんと試してみたいと思った。そのような経緯でこの1600号に到達せんとする、『建築雑誌』の編集長の重責を引き受けたのである。

■伊東忠太の改名論から
 「雑誌」とは文字どおり雑なものである。しかしこの雑っぽさというのは、ぞんがい建築の本質に肉薄する言葉である。
 1894年に建築史家・伊東忠太が学会改名論★を提起した。「造家」から「建築」への改名である。学会はこれを受けその3年後に自らの名前を変更した。以降私たちはこの「建築」の枠組みのなかにある。
しかしこの「建築」という言葉は一筋縄ではいかない、いわば雑ぱくなものだ。
 伊東が提起したその内実は、きわめて巧妙である。伊東は改名論を造家/建築、学/術を掛け合わせたマトリックスで展開した。
 そして彼が造家を用いず、建築をアーキテクチャーの訳語に引き当てようとした理由がまことに興味深い。彼いわく「造家」「建築」ともアーキテクチャーの真正の訳語足りえていない。とはいえ、わい小な創造性を意味する「造家」よりも、むしろその茫漠さゆえに消極的に「建築」を選ぼうというのである。

■まぼろしの「協会」案
 これはどういうことか、当時「建築」は建造物のみならず、鉄道の敷設や、ひいては電線をひく行為にも用いられた広い工学的用語だった。その意味でアーキテクチャーと「建築」とは大きくずれている。そんな用語にアーキテクチャーをひきあてようというのだ。つまり伊東の本当の狙いには、単なる意匠を建造物において凝らすことのみならず、建て築くあらゆる行為に芸術概念を潜ませようとする広大な野望があったように思う。ゆえに「建築」はそのはじまりから雑ぱくな領域を相手にする覚悟を秘めている。当方はこのような「建築」が含む領域の「雑さ」に大いに共感する。そしてこのような態度は関係領域が拡大しつつある「建築」の現在においてこそ有効だろう。
 さらに伊東は述べる。建築は学のみならず術において実現するものであるから、「学会」を廃止し「協会」とすべきことを。
 つまり彼の本当の主張は「建築」によるアソシエーションであった。この主張はその過激さゆえに受け入れられることなく忘れ去られていった。しかし、ここにも学会が今後進むべき方向性がすでに込められていたと思う。それは学を基本として、さまざまな実践を含みうるような組織体というイメージである。これもいわば学に対する雑を含むものである。
当方はこの伊東の思いを「建築」の「雑誌」という、いわば「雑」の二乗において、編集委員とともに着実にかつ挑戦的に成果を出していきたいと思う。

■建築雑誌2010の趣意
 それゆえ、2010年からの2年間の『建築雑誌』の活動目標は以下のとおりである。
・学を主体とした関連領域とのアソシエーションによる編集
・「建築」に関連する諸分野の新しい地図作りと人物発見
・問題提起、提案型……対立軸をきちんと紹介し、読者自身の検討の場所を産み出すこと
・これまでの建築型の評価と整理
・「開かれた学会」のためのひとつの方策として存在すること
 これらを実現するために討論的座談を行い、かつ有名無名・ソフトハードを問わず国内外の諸地域で生まれている建築的諸課題や活動を果敢に紹介検討する予定である。国内の最新の情報のみに関心を向けていると情報強者のつもりが情報弱者になってしまうような世の中なのである。
 また「開かれた学会を」という要求は、学を中心とする学会において常に要求される側面である。しかしその「開かれ方」は単に、口あたりの良い企画を行えば達成されるというわけではない。いま学会が何を課題にして、それに対してどのように行動しようとしているかをきちんと開示するということが、最低限すべきことなのだろう。果敢な一般社会のジャーナリストたちにも応えられるようなレファレンス(出典)としての雑誌づくりをもめざしたい。


★—「アーキテクチュールの本義を論じて、その訳字を選定し、わが「造家学会」の改名を望む」(『建築雑誌』90号、1894)

- 2010年01月07日 - 戻る -
注目の告知
●鹿島出版会から拙著『セヴェラルネス 事物連鎖と人間』が公刊されました。表紙装丁を、岡崎乾二郎さんにご担当いただきました。綺麗です。ぜひ公刊の際はお手に取っていただければ。序文は田中純先生です。

セヴェラルネス


「批評の真髄はどこにあるのか。歴史と理論を踏まえつつ、徹底的に現状を分析すること、必要とあれば時空や知の領域を自由に行来しながら、広い意味でのコンテクストを明らかにしてみせること、そこにこそ批評の意義は求められるべきであろう。建築の分野でそのことをわたしたちに教えてくれたのは、そのあまりにも早い死が惜しまれる「ヴェネツィア派」の論客、マンフレード・タフーリであった。そして、中谷礼仁の本書が幸運にもまた、あらためてそのことをわたしたちに気づかせてくれた。
岡田温司未來社『未来』2006年7月号

注意深く、丹念に書かれた文章ながら、なんかこう、新鮮で生き生きとして見えるのは、おそらく著者自身の「驚き」を伴っているからだろう。また、本書全体に通底している、著者の「連鎖する事物」への(中略)畏敬の念には心を打たれる。自覚的に何かを作ることを志しているつもりの、私たちの多くに欠落しているのは、すでにある事物へのこうした態度なのだった。」
石川初TENPLUSONE WEBSITE

「現在の建築論や都市論には関係者の当を得た解説が少なくないが、どうしてもここから先は当事者や専門家にまかせざるを得ない、という部分が残る。これらの書物は、たとえ子供向けに書かれたものでも、それゆえに難解なのだ。「強い」専門性の石を砕く「弱い」実際的思考に貫かれた本書は、だから分かりやすくなによりもおもしろい。
植田実雑誌『文学界』2006年7月号

「本書は、事物—つねに痕跡でしかない事物—に向かい合ったとき、言葉でなにをなしうるかを改めて教えてくれる書物でもある。本書と前後して邦訳が刊行されたエイドリアン・フォーティーの『言葉と建築—語彙体系としてのモダニズム』はちょうどこの、建築について語るということはなにをしていることになるのかという古くてつねに新しい問題を扱っているが、中谷氏の書物はまさにその問いに対するいくつかの回答を示したものである。」
山本貴光作品メモランダム

未來社『未来』2006年7月号に岡田温司さんによる共感あふれる書評をいただきました。(20060703)
TENPLUSONE WEBSITEにランドスケープ・デザイナー石川初さんによる書評が掲載されました。深い読みを自分の体験にも照らし合わせて書いていただきました。 (20060627)
雑誌『文学界』2006年7月号に植田実さんによる書評が掲載されました。次第次第に社会に理解されていただいているようでうれしいです。 (20060608)
作品メモランダムの山本貴光さんに的確かつ連鎖的な評をいただきました。 (20060216)

また口絵にはセヴェラルネスの思想を端的にかつ寓意的に語る歴史的な豪華写真群を掲載しています。60年代の幻の写真同人誌 『PROVOKE』 に掲載された高梨豊さんによる”あの写真”も、収録しました。高梨さんご本人によって注意深く選定された新プリントを大変な好意で借用させていただきました。ぜひご覧ください。




連載中
http://twitter.com/rhenin

●ワンダリング・セブンティーズ(新建築社『住宅特集』)→途中で終わり

●『日本の民家』再訪(瀝青会名義/季刊『住む。』
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たまになんとなく増えていたりして。リンクを張った報告していませんので問題があったらご連絡ください。
中谷ゼミナール(ポータル)
acetate(編集出版組織体アセテート)
acetate blog(アセテート編集者日記)
... 日々の事柄はこちらに書いています。

瀝青会ブログ
round(Selected Writings on Architecture from Asia)
module
mAAN
Nakatani seminar(中谷ゼミナール)
有限責任事業組合 吉川の鯰
バスルームで夢を見る
omolo.com
all-a.とりあげられている建造物が好みなもので
中谷研究室/日直ブログ
中谷研究室/授業ブログ
『国学・明治・建築家』2007 WEB公開
過去のアーカイブ(より抜き)
2004年以降のものはmoduleに投稿しています。出来のいいものは掲載していただいております。

お台場公園の攻防 1995
すまいの先生 2001
現場日記 1997
バブル・震災・オウム教 1995
旧満州国の伊東忠太 1996
平内廷臣はいかにして日本建築を終わらせたか
1998
ステンレスのバケツ
1999
住まいは誰のものか
2001
内田百間「東京日記」論 1996
戦後建築史学の射程と現代建築史研究会研究の早急なる必要性
2001
亀裂の保存 中村達太郎『日本建築辞彙』を読む
2000
歴史の中のコンバージョン
2002
空飛ぶアーカイブ
2002
都市は連鎖する
2003
デ・レ・メタリカ(金属について) 2004
宇宙人とバラック 2004
歴史の合成に関するノート 2004
おれにやらせてくれ、ビリー  ガーデン・パーティーの奇跡(ビリー・クルーヴァー論) 2004
「1パーセントについて」『村野藤吾著作集』書評 2008
過去の主要著作リスト
主要著作
学術論文
フィールドワーク
建築作品
総説、解説
連載:建築の解体新書
講演発表論文
博士論文
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最近の記事20
建築雑誌2010・7月号 No.1606『建築写真小史』届く
あまりにも緊急告知・滅多にない書容設計家 羽良多平吉の会/開催のお知らせ(有料)
緊急告知・日本建築学会会誌『建築雑誌』10月号 公開座談会―斎藤公男×中川 武×藤森照信
建築雑誌2010・6月号 No.1605『われらの庭園』届く
建築雑誌2010・5月号 1604『特集 BOSAI立国ニッポン』届く
講演会のお知らせ・Note on "fig-ness" of architecture, イチジクの葉っぱ建築論ノート・5月20日千葉大学にて
建築雑誌2010・4月号 1603『特集 〈郊外〉でくくるな』届く
瀝青会報告第八回・雪に埋もれる山の村の家その後・雑誌『住む』No.33
日本生活学会 第37回総会・シンポジウム・研究発表大会のお知らせ・2010年5月8日(土)
建築雑誌2010・3月号『ナイーブ・アーキテクチャー』届く
建築雑誌2010・2月号 1600記念号『特集 建築・有象無象』届く
設計演習A「役に立たない機械」『タモリ倶楽部』に登場しました。
建築雑誌2010・一月号『特集 検証・三菱一號館再現』届く
今和次郎のバラック写真集成『グラフィカ』No.3
瀝青会報告・浜辺のブリコラージュ(越後の舟小屋)
監修・『住宅建築』2010年1月号・白井晟一を探して -Constellation-
新連載・「イチジクの葉っぱ建築論」・雑誌『d/sign』No.17 デザインと編集力
論文・「ナンドの生産性−化モノ空間のための補遺」
中谷ゼミナールのポータルサイト、デザイン一新しました。
3年後ものこっていた・韓国ソウルの北村のゲストハウスの思い出・2009年9月27日
その他
中谷略歴
歴史工学研究とは何か


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