アセテート編集者日記

アセテート編集者による日記です。
編集作業の実況中継のほか、編集者のつぶやきを掲載しています。
*editorNの日々のつぶやきはhttp://twitter.com/rheninに移行しました。ここではきちんと本の制作進行をお伝えします。また書評等も掲載予定です(091018)。
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2009年 8月 02日 (日曜日)

『昭和二十年 東京地図』筑摩書房

原稿を書けないでいると、逃避行動に走る。
今日読んだのが、いくぶん原稿と関係しているが西井一夫著、平嶋彰彦撮影による『昭和二十年 東京地図』(昭和61)とその続編(昭和62)である。
平嶋さんには、以前千葉でお会いしてとても感銘を受けたのだが、そのあと鈴木了二先生が上の二書を僕に送ってくれていた。こんな名著を知らないのは恥であるとのこと。前にさっと読んだのだが、その内容の濃厚さに圧倒されて、その時はさっと通り過ぎることにしたのだ。それをじっくり読んだ。昭和20年の地図を持って現在の東京を歩き、戦後、戦前の連鎖を探していくというのが目的なのだが、いや、もうeditorNの個人的研究にとってはあまりにもぴたりとはまる本で、鈴木先生が身銭を切って送ってくれたのがよくわかった。
西井一夫の文章は時代の移り変わりを体現してきた人々のモノローグを駆使して、そのかくれた連鎖のありかたを語る。
様々な場所、事件、人間の性、そして平嶋の写真がくみあわさって、他の東京論が一気に凡庸に見える。実際東京論として3本の指にはいる名著ではないだろうか。いまは売っているのかは定かではない。
(いまアマゾンで確認したのだが文庫に収録中。ただし、表紙があまりにも内容とかけ離れている。平嶋さん撮影の全写真が収録されているかどうかはわからない。絶対に単行本の風合いとデザインで入手すべき本である。マーケットプレースで85円でした!)

この本を読んで思い出したのだが、今度刊行予定のロースの視点には、過去のものに対するどうすることもできないという意味での肯定感が見え隠れして、これがロースの論を単なる伝統否定論から、スパッと水準を違えたものにしている。
このテースト、何かに似ているな。もちろん西井一夫の目にも似ている。永井荷風の目にも似ている。鈴木了二先生の目にも似ている。もちろん僕の目にも似ている。八束はじめの目には似ていない。
もちろんボードレールにも似ている。あ、ルドフスキーに似ている。おお、よく読めばクリストファー・アレギザンダーの伝統論にも似ている!

これらに共通しているものは何か。それはここでは東京であり、ウィーン(ルドフスキー、アレギザンダーともにロースと同じく若い頃をウィーンで過ごしたのであった)といった過去を背負い込んでしまった都市を生きた人々たちなのだった。ダンディってそういう「どうしようもないことを認めること」なのだった。
じゃ大阪の織田作之助は?もちろんダンディですよ。
京都の溝口健二は? 当然そうでしょ。
- editorN -

2009年 7月 31日 (金曜日)

本日夜、新刊行シリーズを発表します。

日頃よりアセテートをご愛顧していただいている皆様
お世話になっております。
最終日になってしまいましたが、新シリーズ集の発表を行います。今夜今年末に第一弾発行予定となります。
告知ページの仕上げ段階ですので、いましばらくお待ちください。→
アップしました

定価、予約開始時期などはまだ未定ですが、アセテートの機動性を活かした手に入りやすい価格を設定したいと思っています。
近日中に、これまでネットから購入していただいた方、友の会にはいっていただいている方には、他の特別記事ともあわせて、久々の友の会通信を発行いたします。
- editorN -

2009年 7月 18日 (土曜日)

青井哲人氏レクチャー「台湾都市の解剖学〜私のフィールドワークから〜」

7月25日(土)、東京神田にある建築専門書店、南洋堂にて青井哲人氏のレクチャーが行われます。editorN、Kも売り子として参加予定ですので、ご興味のある方は是非足をお運びください。

詳細
http://www.nanyodo.co.jp/cgi-bin3/np_vhtml.cgi?page=top

■日程
2009年7月25日(土)19:30〜21:00(開場19:20)
■会場: 南洋堂書店 1、2階
■定員:30名(事前申込制)
■会費: 無料
■申込方法
氏名、所属、参加人数を記載の上、件名を「N+スクールvol.13参加申込み」として、メールで申込。
info@nanyodo.co.jp
- editorK -

2009年 7月 07日 (火曜日)

朝の訪問者

朝原稿を書いていると(ブログをアップしていると)、最近ベランダの様子がちょっと変である。視界にちらちら黒いものがはいってくるのである。鉢植えのブルーベリーを食べているらしい。朝の僕と同じことをしている。



来て(写真左)、そして逃げる(写真右)。至近距離である。ようやく携帯カメラで捕獲。あ、また来た。
- editorN -

2009年 6月 28日 (日曜日)

7月中に新刊の宣伝を打ちます

アセテートの初心に戻ったような、地味だけどきわめて重要な内容を、しかも全集でこれから3年にわたって出すつもりです。
最近の若い世代の方には著者のことも知らない方もおられると思いますが、とにかくシリーズ開始です。興味のある人は必ず手元に置かねばならなくなるでしょう。世界観もそれによって変わっていくでしょう。
舞台はウィーンです。

予算が尽きぬよう、force(ヨーダさん)がともにあらんことを願いつつ。。あ、きちんと回収してからしか本を出さないようにすればいいのか。
- editorN -

2009年 6月 21日 (日曜日)

藤田東吾のイーホームズ

今夜、道を歩いていてこんな手描きの看板を見かけた。建物にも入ったんですけどね。感慨深いなあ。この建物やたら竣工が遅そうだった。
- editorN -

2009年 6月 20日 (土曜日)

日本の変容がみるみるわかる労編集

毎日新聞社はすごい本を作る。
以前の宮本常一 写真・日記集成 全2巻・別巻1とか。でもあれは大きすぎてちょっとたいへん。

そんなところにダイジェストがでた。
宮本常一が撮った昭和の情景 上下巻 である。

上巻

下巻
『集成』の時間を早めて、昭和30年代から40年代後半までの日本の農村の変容をタイムマシーンに乗ったように見ることができる。上巻でほんのり見ていると、下巻でその風景が加速的に変容していくことがよくわかる。最近別のプロジェクトで広島に点在する灰を作る小屋(肥料にする)の現状を取材しにいったのだが、それが40年代前半にがんがん取り壊されていく写真が活写されているではないか。
宮本がどのくらいの意識を持ってこの写真を撮ったのかは知らねど、写真というものは実に恐ろしいものだと思う.もちろん映像もそうである。
- editorN -

2009年 6月 14日 (日曜日)

闇の奥 Heart of Darkness

コンラッド『闇の奥』(岩波文庫)読了。(映画『地獄の黙示録』のベースになったものでもある。)
いまこの著作に触れる人々が微々たるものであることはわかるが、
ピクチャレスクをへて19世紀末に到達した、人の世界の中の所在の無根拠を突きつけるナイフのような作品。
アドルフ・ロースもこういう時代の最後に生きたのだろうと思った。

「クルツが死んだ」T.S. エリオット
- editorN -

2009年 6月 11日 (木曜日)

これも長い道のりの本『藤森探偵、素材の旅』新建築社

この苦しそうな顔がよろしい

今日ちょっと時間が空いたので積まれていた(深くおわび申し上げます)書籍を読み始める。
『藤森照信 素材の旅』新建築社2009年
おくればせながら拝読。アセテートの『グラウンド・ツアー』も約20年弱の記録からの抜粋であったけれども、こちらも16年間も続いた(これからも続くという!)戸田建設の広報誌『TC』に載った連載をまとめたものである。
何がすごいって、著者自体が年月とともに確実に自然というか、野生に近づきつつあることが、16年間の写真を眺めることによってわかってしまうことである。最近立て続けにでております藤森本(ちょうど昨日伊豆大島にある『ツバキ城築城記』日経BP社もとどいたのではあるが)、おなかいっぱいになりそうで、実はならない。それは氏の活動が常に有名無名問わず蓄積されているからだろう。それがたまにまとまって出てくるのだ。若い頃、ミニコミに原稿をお願いしたら、おおこのテーマならいつでも書いてやると言われた氏の爽やかさがいまでも忘れられないです。
僕は上のページの写真が好きですね(下にアップ)。苦しそうな顔。と同時に檜皮葺きに使う檜皮をとる職人の生き方など、きわめて重要な資料的価値もある。心のすかっとする編集である。買いましょう。

撮影:新建築社写真部
- editorN -

2009年 6月 10日 (水曜日)

美術出版社刊『デザイン』を買ってみた。

雑誌『デザイン』の70年代初期の頃のものがまとめて売られたので買ってみた。
名装丁というか日本出版史上に残る傑作であるところの草森紳一著『江戸のデザイン』の連載が収録されていたのと、個人的に趣味な系統の潮流が掲載されていたからだ。

しみじみ見ると(読むのは何年か後ぐらいだろう)、やはり右上がりのラディカルさがあって、あらゆるソース一つの器に入れてやろうという方針で、興奮。

新宿一番館 設計竹山実 『デザイン6』1970年6月より

森山大道「写真1970」『デザイン7』

特集・プロップアート『デザイン8』

やっぱり万博『デザイン9』

磯崎新 福岡相互銀行 撮影多木浩二『デザイン10』

篠原一男 未完の家 撮影多木浩二『デザイン11』

ざっと当時のデザイン系の月刊誌を紹介してみましたが、如何でしたでしょうか。この時代は雑誌がメディアの主役だったことを痛切に感じ、痛すぎるぐらいです。
- editorN -
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